2015年3月3日火曜日

ろう者と聴者の間は限りなく近く限りなく遠い

ろう者の9割は聴者から生まれる。
ろう者の9割はろう者と結婚し
ろう者夫婦の9割に聴児が生まれる。

手話の研修を受けていて、ろうの講師の方からときどき
家族との意思疎通が困難だった。今では家族とは疎遠である。
という話を聞く。
「だからいま手話を学んでいるあなた方は、
自分のこどもたちと話せるよう頑張って。応援しています。」と。
もしかしたらこれは昔の話なのかもしれない。
でも、いつ聞いても、何度聞いても、同じ話でも、涙してしまう。
だって話すご本人の表情がつらそうだから。

通じない、分かり合えないという思いは
家族として過ごしてきても、その関係を疎遠にしてしまう。

そんなのはいやだ!
そんなのはいやだ!
そんなのはいやだ!
そんな風には絶対ならない!

心はそう叫ぶけど
選ぶのは子供。なのであります。

耳が聴こえないことってどういうことなのか
タマが生まれてからしか考えたことがないので
まだよくわからないけれど
こんなに近くに異国があったんだ!
という驚きはずっと続いている。

ろう学校に通っていると
時々ろうの家族(親も子もろう)が羨ましく思える時がある。
そこには言葉の壁はないから。
親は手話のシャワーを浴びせ
こどもはそのシャワーを浴び
それは、やがてシャワーではなくキャッチボールになる。
自然に手話を第一言語として獲得する。

今の私たちは自分も知らなかった言語を
こどもにいくつか教え、自分もどうにかいくつか覚えて
手探りでやり取りを行う。
それはたどたどしく、曖昧で、自信がない。
母語というにははるか遠く
まずは必要最低限の単語からくりかえしくりかえし。

お互いの習得の遅さに
時にはこんなの意味あるのかな
もっと効果的な方法があるんじゃないかな
って思うけどそんな奇跡はおこらない。

ただ、通じ合いたい思いはあって
たどたどしいやり取りも回数を重ねるほどに
通じている、という自信と喜びに変わっていく。
そうか、対話って奇跡だったんだ。

ろう者の9割が
ろう者から生まれた聴児の9割が
この対話っていう奇跡を体験しているなら
ろう者と聴者の距離はどんどん縮まって行く、きっと。





















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